真実の再生こそが永遠のテーマです。音楽が好きな方に対して、家庭用として全ての面において最高の再現力を持ち、一度手にしたら買い換える事を考える必要がなく、音楽を聴くことだけに専念でき、十分な音楽性や演奏の実感が得られるようにとして作られたものです。

２０数年前、良いスピーカーはないものかと探していました。それは自分専用のものでレコードに録音される前の「生の音」を一番良く再現できるものが必要でした。価格は無制限に世界の名器と呼ばれるものを手当たり次第に試聴させて頂きましたが、いずれもステレオとしての再生機特有の音で、生演奏の音には感じられません。もしかして、原因がアンプやプレイヤーシステムにあるかもしれないと思い色々と取り替えてみましたが、それほど大きな違いに感じられなかったのです。

その後、スピーカーシステムの箱の形に大変大きな問題がある事を実感し、オリジナルのスピーカーを製作してみることにしました。それに使用するスピーカーユニットを歴史的に調べているうちに良心的に作られたユニットは昔にしか存在しないことが分かりました。行き着いたところが60年以上前の最高級フルレンジスピーカーです。ウエスタンやジェンセン、RCA等、これらのスピーカーは現代のスピーカーとは大違いです。見かけは気にせずに本格的に考え抜かれた物で素晴らしい部分をたくさん持っています。簡単に言うと励磁型、フィクスド、ベークダンパーで、正当な考え方として最高のものです。現代のスピーカーユニットでは足元にも及びません。鉄の素材やコーン紙の作りでも非常にこだわりが有り、紙の素材や糊の量や形成方法が全く違ったのです。現代の量産品と大きな質や能力の違いを感じさせられました。調べていくうちにスピーカーの技術や質は60年も前から衰退している事を実感したものです。当時は非常に高価で一般の方が購入できるような価格ではありませんでした。このような高級フルレンジスピーカーは一般的に販売されていなかったようです。当時の多くのスピーカーシステムを調べてみて、箱型では頂点を目指すことは出来ないことを再確認しました。

このようにして、１８年程前になりますが当時のスピーカーを色々と物色し、大きなバッフル板を作り実験を始めました。しかし困難はここから始まりました。そして、Hz=340/2Lという方程式が実用的でないことを実験により発見します。また、ユニットから出てくる音の質は非常に良いのですが特性上の大きな暴れや大きな共振には悩みました。そして長年に渡って色々な方法を考えながらツイーターやウーハーの選別、バッフルの形体やネットワークの調整等を続けました。もう一歩というところで長年思いつめていた「生の音」に到達出来ません。数年前に突然その原因に気が付きました。当店の大型システムに使用しているツイーターとこのバッフルシステムに使用しているツイーターは同じです。しかし高域の音に大きな違いがあったのです。その原因はバッフルシステムだけにしか使っていないアッテネーターだったのです。その後、音質の劣化しない新方式のアッテネーター（特許）を考案する事ができ、問題は解決出来ました。そして１８年目にして殆んど思い通りの音を出してくれたこのバッフルシステムに「プロミネント」という名前をつけました。このプロミネントの自然な再生力は試聴された方でないと想像が難しく、予測を越える音に感じて頂けると思っております。

この「プロミネント」は低音から高音まで素晴らしく、他のスピーカーとはかけ離れた再生力を持っています。ティンパニーやドラム、チェロ、ベースの質感やバイオリン、シンバル、木管、金管、ボーカルの音色など全ての音質を再現し他の追従を許しません。音楽を聴くことに没頭できてスピーカーの存在を忘れるほどのものです。このスピーカーの音質の全てを発揮する為には同じように考えて作られた良質なアンプが必要になります。特に高価なものという意味ではありません。このようにして完成したプロミネントは音楽のソフトやジャンルは選びませんが、それぞれの録音されたソフトには音質的に差があり、良心を持って作られた良いソフトが必要である事は言うまでもありません。そうすることで生演奏の再現を感じることが出来ます。

正確な良い音で再生された音楽は、録音前の生の音に非常に近くなる為、音楽を知り尽くした演奏家のその思いが音となって私たちに伝わるものだと信じています。音楽に言葉はありませんが、言葉以上に感情を伝えるすばらしいものと思っております。